ケーキ屋さんの注文で、いちばんシステム化が難しいと言われるのが「のし」や「メッセージプレート」「数字クッキー」といったカスタマイズ注文です。のしだけで数十種類、そこに結び切りと蝶結びの使い分けが加わり、メッセージプレートには文字数の制限もある。これを口頭とメモだけでさばこうとすると、どうしても伝達ミスが起きます。この記事では、複雑なカスタマイズ注文を「予約の入り口」で整理し、現場の負担とミスを減らす考え方を、私自身が現場のオーナーさんから聞いた声とあわせて整理します。
ケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」を運営している、がだんだん株式会社の福井です。私はもともと新聞販売店を15年営んでいて、そこからITの世界に移りました。ケーキ屋さんの現場に何度も足を運ぶなかで見えてきた「カスタマイズ注文の壁」について書きます。
この記事の内容
なぜカスタマイズ注文は「口頭とメモ」で回らなくなるのか
カスタマイズ注文が口頭とメモで回らなくなるのは、確認する項目が多いうえに、その情報がばらばらの場所に散らばるからです。ケーキ屋さんの注文は、実はとても情報量が多い仕事です。ホールケーキひとつを受けるにも、号数、受け取り日時、メッセージプレートの文言、ロウソクの本数と色、のしの種類、アレルギーの有無……と、確認すべき項目がいくつも重なります。通常期の予約の約90%が誕生日をはじめとしたお祝い目的で、そのほとんどに何らかのカスタマイズが伴います。
問題は、この情報が電話・店頭・メモ・伝票とばらばらの場所に散らばってしまうことです。あるオーナーの方は「私たちも人間なので、どうしても抜けや漏れが出る」とおっしゃっていました。誕生日ケーキは、名前や日付を一文字でも間違えると取り返しがつきません。別のオーナーの方は「誕生日ケーキなので、ミスが絶対に許されない」と、その緊張感を言葉にされていました。
私が新聞販売店をやっていた頃も、配達の順路変更やお客様ごとの細かな要望を、朝の忙しい時間にメモと記憶でさばいていました。件数が増えるほど、この「頭でさばく方式」は必ずどこかで破綻します。ケーキ屋さんのカスタマイズ注文も、まったく同じ構造だと感じています。
デザインケーキのように確認事項の多い注文を電話で受けると、1件あたり15分ほどかかることも珍しくありません。1日5件で75分。この時間は、本来ケーキを作る時間、お客様と向き合う時間だったはずです。つまりカスタマイズ注文の課題は「ミス」だけでなく「時間の流出」でもあるのです。
1か月で見ると、カスタマイズ注文の電話にかかる時間は次の式で出せます。
月にかかる時間 = 1日のカスタマイズ注文の件数 × 1件あたりの時間 × 月の営業日数
| 項目 | 例 | メモ |
|---|---|---|
| 1日のカスタマイズ注文の件数 | 5件 | 電話・店頭で受ける分 |
| 1件あたりの時間 | 15分 | 確認事項の多いデザインケーキ |
| 月の営業日数 | 25日 | |
| 月にかかる時間 | 1,875分(約31時間) | 5件 × 15分 × 25日 |
※数字は計算の例です。お店の数字に置き換えて計算してみてください。
現場で起きている3つのカスタマイズ課題

私が複数のケーキ屋さんのオーナーから直接聞いてきた声を整理すると、カスタマイズ注文の悩みは「のしの種類が多すぎる」「指定が細かい」「注文情報が二重・三重に管理される」の3つです。
課題1:のしの「種類が多すぎて把握しきれない」
あるオーナーの方は「のしって、やっぱりすごい種類があるみたいで……分からなくなっちゃって」と率直に話してくれました。棚に何十種類も用意してあるのに、実際に使うのはごく一部。新しいスタッフほど、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。
課題2:メッセージ・ロウソク・プレートの「指定が細かい」
別のオーナーの方は「メッセージとかロウソクとか、カスタマイズが結構多いので、それがしやすい方がいい」とおっしゃっていました。メッセージプレートの文言、数字クッキーで表す年齢、ロウソクの本数——どれもお客様ごとに違い、口頭で聞くほど取り違えのリスクが上がります。
課題3:注文情報が「二重・三重に管理される」
電話や店頭で受けた内容を伝票に書き、それをまた厨房用に書き写す。ネット予約とも別管理になり、同じ注文が何か所にも存在してしまう。この二重管理こそが、抜け漏れの温床になっています。
この3つはどれも「注文の入り口」が整理されていないことから来ています。裏を返せば、お客様が注文する瞬間に必要な情報をきちんと集められれば、その後の現場はぐっと楽になります。
「のし」問題:数十種類をどこまでシステム化できるか

のしは、全種類をシステムに置き換えるのではなく、伝達のミスだけをシステムに任せるのが現実的です。のしは、日本の贈答文化そのものです。慶事と弔事、結び切りと蝶結び、表書きの言い回し……。あるオーナーの方は「結び切りは、一度きりであってほしいことに使うものだから」と、その意味の重さを教えてくれました。全種類を機械的にリスト化すればいい、という単純な話ではありません。
ただ、現場で本当に困っているのは「全種類を覚えること」ではなく、「お客様の希望を正確に、抜けなく受け取ること」です。ここはシステムで大きく助けられる部分です。私が有効だと考えているのは、次のような整理です。
のし対応をシステムでさばく3ステップ
大切なのは「システムで完璧に自動化する」ことではなく、「迷いやすいところを選択肢で減らし、間違えてはいけないところを文字で残す」という役割分担です。のしの奥深さは職人さんの知識に任せ、伝達のミスだけをシステムが引き受ける。この線引きが、現場に無理のないデジタル化だと考えています。
メッセージプレート・数字クッキーの伝達ミスを予約時に防ぐ

メッセージプレートや数字クッキーの伝達ミスは、お客様に予約の時点で入力してもらえば防げます。メッセージプレートは、予約時にほぼ必ず確認が必要な項目です。ところが電話や口頭で受けると、「おめでとう」が「おめでとぅ」になったり、名前の漢字を取り違えたりと、細かなミスが起きます。ここで効くのが、予約の入り口での「文字入力」と「制限のルール化」です。
| 項目 | 口頭・メモだと起きること | 予約入力にすると |
|---|---|---|
| メッセージプレート | 聞き間違い・文字数オーバーで作り直し | お客様が入力した文字がそのまま残る。文字数上限を設定できる |
| 数字クッキー | 「3歳」か「30」か口頭では曖昧 | 数字を明示的に選択。年齢の取り違えを防ぐ |
| ロウソク | 本数・色の伝え漏れ | 本数と種類をあらかじめ選択肢化 |
この「お客様がその場で入力できる」形は、実は導入店さんからのご提案で生まれた機能です。滋賀県野洲市の菓志工房うすなが様から「メッセージプレートに入れる文言を、注文のときにお客様がそのまま入力できるようにしたい」というお話をいただき、フリーテキスト入力として開発しました。いまは実際の注文画面で動いています。経緯は菓志工房うすなが様の導入事例にまとめています。
たとえばメッセージプレートに「20文字まで」といった上限を予約画面で設けておけば、プレートに入りきらない文言を受けてしまうトラブルそのものがなくなります。数字クッキーも、年齢を数字で選んでもらえば「3」と「30」の取り違えは起こりません。お客様自身に入力してもらうことが、いちばん確実な伝達方法なのです。
しかも、いつでもケーキの予約データを見ると、予約の約51%は営業時間外に発生しています。夜、お客様がゆっくり考えながらメッセージを入力できる環境があるほうが、内容も正確になり、店側の電話対応も減っていきます。
紙とデジタルの二重管理をなくす「注文情報の一元化」

カスタマイズ注文でいちばん怖いのは、情報が複数の場所に分かれて「どれが最新か分からなくなる」ことです。ネット予約は画面、電話注文は伝票、店頭は別のメモ——これでは、せっかく正確に受けた注文も、写し間違いで台無しになりかねません。
ここで目指したいのは、すべての注文を一つの場所に集める「一元化」です。のし、メッセージ、数字クッキー、受け取り日時までを一件の予約情報にまとめ、厨房はそれを見るだけで作れる状態にする。製造の現場が紙のチェックリストを使いたいなら、その一元化された情報から必要な分だけ印刷すればいい。紙を否定するのではなく、紙のもとになる情報を一か所に正すという発想です。
私は「ちょうどいいIT」という言葉をよく使います。現場のやり方を全部ひっくり返すのではなく、いちばん間違いが起きる一点だけをデジタルで支える。カスタマイズ注文なら、それは「注文の受け取りと一元化」です。
カスタマイズ注文に強い予約システムの選び方
カスタマイズ注文に強い予約システムは、カスタマイズ項目を予約の入り口で受け取り、注文情報を一か所にまとめられるものです。では、複雑なカスタマイズ注文をさばくには、どんな予約システムを選べばいいのでしょうか。汎用の予約フォームでは項目を細かく設定できず、結局あとから電話で確認し直す——という声も多く聞きます。私が見てきた現場の課題からいうと、確認すべきは次の点です。
私たちが提供している「ケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム『いつでもケーキ』」は、まさにこうしたケーキ屋さんの現場の声から作ってきました。のし・メッセージ・数字クッキーといったカスタマイズ項目を予約の入り口で受け取り、注文情報を一元化することを大切にしています。
料金は、初期費用0円・月額固定費0円で、注文代金の5.5% + 決済手数料3.6%だけをいただく設計です。これは単なる「安い料金」ではありません。お店が売れなければ、私たちも稼げない。だからこそ、売れるための機能、現場が本当に楽になる機能を全力で作る——という「同じ船に乗ります」という意思表明です。カスタマイズ注文の負担を減らすことも、その一環だと考えています。
よくある質問(FAQ)
Q. のしの種類が数十パターンあります。全部システムに登録しないといけませんか?
A. すべて登録する必要はありません。注文の大半を占めるよく使うのしだけを選択肢にし、それ以外は「その他(自由記入)」で受けるのが現実的です。用途(お祝い・内祝いなど)を先に選んでもらえば、結び切りか蝶結びかの判断も店側でしやすくなります。
Q. メッセージプレートの文字数トラブルを防ぐには?
A. 予約の入力画面に文字数の上限(例:20文字まで)を設定しておくと、プレートに入りきらない文言を受けてしまうこと自体がなくなります。お客様が入力した文字がそのまま厨房に伝わるため、聞き間違いも防げます。
Q. 製造の現場は紙のチェックが染みついています。デジタル化すると混乱しませんか?
A. 紙をなくす必要はありません。注文情報を一か所に集めておき、そこから必要な分を印刷して厨房で使えば、紙のよさを残したまま「写し間違い」だけをなくせます。現場のやり方を全部変えるのではなく、間違いが起きる一点だけを支えるのが「ちょうどいいIT」だと考えています。
ケーキ屋さん向けのサービスです
店頭受取のWeb予約を、初期費用0円・月額0円ではじめる
ケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」。実際にケーキ屋さんと一緒に開発したので、営業時間外の注文も受けられます。
サービス紹介ページが開きます。その場での申し込みは不要です。
がだんだん株式会社 代表取締役。1938年創業の新聞販売店の4代目として約15年経営したのち、2020年にがだんだん株式会社を設立。2023年からケーキ店専用の予約の仕組み「いつでもケーキ」を導入店とともに開発し、2026年4月に本格的な販売を開始。ケーキ屋さんへの導入とメニュー登録の立ち上げを自ら担当している。