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ケーキ屋さんのLTV計算式|広告費の上限が見える経営に変わる

ケーキ屋さんのLTV計算式|広告費の上限が見える経営に変わる

「ケーキ屋さんの広告費、いくらまでなら使っていいですか」。営業先のオーナーさんからよくいただく質問です。チラシを撒くべきか、Instagram広告を回すべきか、それともMEO対策にお金をかけるべきか。判断の基準が見えないまま、なんとなく「月3万円ぐらいかな」で決めているお店が、私の体感ではまだ少なくありません

この記事では、ケーキ屋さんが「広告費の上限」を自分で計算できるようになるための、LTV(顧客生涯価値)の考え方を、現場の言葉に翻訳してまとめます。私自身、家業の新聞販売店で15年ほど「購読者一人あたりの長期売上」を見続けてきた経験と、いまケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」を運営する中で見えてきた予約データを下敷きにしています。難しい数式ではなく、ご自身のお店の数字に当てはめて使えるレベルでお話しします。

なぜ「広告費の上限」を決められないのか

ご相談を受けるとき、私はまずこうお伺いします。「いま、お一人のお客様が、最初の1回でいくらお買い上げになっていますか」。多くのオーナーさんは、5,000円前後、と即答してくださいます。続けてこう聞きます。「では、そのお客様が10年後までに、合計でいくらお買い上げになるか、計算したことはありますか」。この時点で、ほとんどの方が「考えたことがなかった」とお答えになります

広告費の上限が決められないのは、お金の使い方が下手だからではありません。「お客様一人が、長い目で見ていくらの売上を生むのか」を計算する習慣が、まだ業界全体で広まっていないだけです。チラシ1枚2,000円で新規が来た、と聞くと「2,000円は高い」と感じる。でも、そのお客様が10年で35万円のお買い上げになるなら、2,000円は安すぎる投資です。

この「長い目」を数字に落としたものが、LTV(顧客生涯価値)と呼ばれる考え方です。専門用語に聞こえますが、要は「このお客様、生涯でうちにいくら使ってくれるか」という、ごくシンプルな問いです。これが見えるようになると、広告費だけでなく、値引きの判断、特典の設計、スタッフ採用までもが、目先の売上ではなく長期の関係を基準に変わっていきます。

ケーキ屋さんのLTVを、ご家族1組で試算してみる

「いつでもケーキ」を導入していただいているお店のデータを見ていると、通常期の予約の約90%は「誕生日のお祝い」が占めています。ここに、クリスマス・記念日・父母の誕生日が乗ってきます。つまり、ご家族のお祝いごとに「うちはどこのケーキ屋さんに頼むか」を決めると、それが年単位で繰り返される構造になっています。

具体的に、ある4人家族(夫婦・子ども2人)を例に試算してみます。あくまでひとつの仮定計算なので、ご自身のお店の客層に合わせて数字を入れ替えてください。

年間の購入回数(仮定)
・子どもの誕生日:年2回
・夫婦の誕生日:年2回
・クリスマス:年1回
・父母(祖父母)の誕生日:年2回
合計:年7回 × 平均5,000円 = 年間35,000円
20年継続したら、LTV = 70万円

数字を見て、驚かれた方も多いのではないでしょうか。1人のお客様(ご家族1組)が、20年で70万円。これは決して大げさな数字ではなく、年中行事のたびに思い出してもらえるお店であれば、ごく自然に積み上がる金額です。私の家でも、子どもの小さい頃からずっと同じケーキ屋さんに頼んでいるお店があります。気づけば、もう10年近くお世話になっています。

大切なのは、この数字を「平均的な家族」で計算してみることです。地域・客単価・年中行事の数によって変わりますが、1家族あたりのLTVを「年間取引額 × 継続年数」で一度計算してみると、自店の経営判断の解像度が一気に上がります

LTVが見えると、広告費の上限が決まる

LTVを計算する一番の目的は、「新規のお客様一人を獲得するために、いくらまで使っていいか」を、自分で決められるようになることです。ここで使われる目安が、CPA(一人あたりの獲得コスト)とLTVの関係です。

経営学の世界では、CPAがLTVの15〜20%以下であれば健全とされます。先ほどの試算でLTVが70万円なら、新規1人あたり10万〜14万円までは投資できる計算になります。さすがにケーキ屋さんで一人に10万円かけることはありませんが、「2,000円のチラシで新規が1人来た」というケースが、いかに割の良い投資かは伝わるかと思います。

私が新聞販売店時代に痛感したのは、「目先の獲得コストで判断すると、長期で儲かる投資を捨ててしまう」ということでした。獲得当月の単価だけ見ると赤字に見える施策が、3年後5年後で見ると圧倒的に黒字、というケースが何度もありました。ケーキ屋さんの場合も、同じことが起きます。

逆に言えば、LTVを計算しないまま「広告費は売上の◯%以内」というルールだけで判断するのは、危険です。利益率の低い回転寿司と、利益率の高いケーキ屋さんが、同じ広告費比率で良いはずがありません。ご自身のお店のLTVが見えれば、「うちは月◯万円までは新規に投資していい」という上限が、自然と決まってきます。

LTVを下げる落とし穴と、上げるための3つの設計

LTVは「足し算」だけで増えるものではありません。途中で離脱されると、その時点で打ち切られます。私の体感ですが、ケーキ屋さんのLTVを下げてしまう落とし穴は、大きく3つあります。

落とし穴①:初回特典で釣ると、初回しか来ない

「初回半額」「初回30%オフ」のような特典で集めた新規のお客様は、特典が切れた瞬間に他店へ流れる傾向があります。一時的な売上は立ちますが、LTVで見ると赤字のケースが多い。割引で来た方は「割引があるから」来てくれただけで、お店の味やブランドにロックされていないからです。

落とし穴②:年中行事の予約取りこぼし

これは私が運営している予約データから一番強く見えていることです。「いつでもケーキ」を導入している店舗では、予約の約51%が営業時間外(夜・早朝・休業日)に発生しています。1店舗あたりの営業時間外売上は71万〜126万円規模。電話だけで受けていると、その時間帯の予約は丸ごと取り逃しています。1回逃した年中行事は、翌年もう一度同じお客様から声がかかるとは限りません

落とし穴③:「お元気ですか?」を出さないと忘れられる

通常期の予約が90%は誕生日、ということは、多くのお客様にとって「うちのお店」は年に1回しか接触のないお店だということです。1年間まったく接触がなければ、人は忘れます。半年・1年と空いてしまったお客様には、ハガキ1枚・LINEメッセージ1通でいいので「お変わりありませんか」とお声がけしていく仕組みが必要です。

「いつでもケーキ」の予約データから見えるLTV的視点

私たちが運営している「いつでもケーキ」では、ケーキ店専用の予約データが日々蓄積されていきます。その中で見えてきている、LTV的視点でのいくつかの事実を共有させてください。

いつでもケーキ導入店舗の実データ(一部抜粋)
・予約の約51%が営業時間外に発生(夜・早朝・休業日)
・1店舗あたりの営業時間外売上:71万〜126万円
・手数料に対するROI:5.6〜5.7倍
・7〜8人に1人がリピーターになる
・通常期の予約の約90%が「誕生日のお祝い」

特に注目していただきたいのは、「7〜8人に1人がリピーター」という数字です。初回来店してくださった100人のうち、12〜14人が翌年以降もご利用くださる計算になります。この12〜14人が、ご家族として年7回・20年使い続けてくださると、1人あたり70万円のLTV。つまり、新規100人を集めることは、9,000万円規模の生涯売上の入り口を開けることと同じです。

この視点に立てると、新規獲得が「目先の売上」ではなく「未来の利益への投資」に見えてきます。一方で、せっかく入り口を開けてもリピートにつながらなければ、LTVはゼロです。だからこそ、初回体験の質・受け取り時の演出・年中行事のリマインドという「リピートに繋がる仕組み」が、新規獲得と同じぐらい重要になります。

明日から使える、LTV計算の3ステップ

ここまでお読みいただいて、「うちの店でもLTV計算してみたい」と思われた方のために、明日から使える3ステップをご案内します。エクセルか紙のノートで十分です。

ステップ①:「1家族あたり年間購入回数」を見積もる

過去1年の顧客台帳・予約データを開いて、リピート率上位のお客様(10〜20人)を抽出します。その方々が年間で何回ご来店されているかを数え、平均を出します。「うちの常連さん、平均で年4回くらいかな」という感覚値で大丈夫です。

ステップ②:平均客単価をかけて、年間取引額を出す

ステップ①の年間回数 × 平均客単価で、1家族あたりの年間取引額が出ます。先ほどの例なら、7回 × 5,000円 = 35,000円。ご自身のお店の数字で計算してみてください。意外と「あれ、こんなにあったのか」と感じることが多いはずです。

ステップ③:継続年数をかけて、LTVを出す

継続年数の見積もりは難しいですが、最初は「10年」で計算してみてください。先ほどの例なら、35,000円 × 10年 = 35万円。ここに「リピートしてくれる確率(7〜8人に1人)」をかけて、新規1人あたりの平均LTVを出します。35万円 × 0.125 = 約44,000円。つまり、新規1人あたり44,000円までは投資できる、というのが理論的な上限になります。実際には、利益率を掛けた金額が広告費の上限です。

LTV経営は、特別なツールがなくても始められる

LTV計算は、高価な分析ツールを買わなくても、エクセル1枚から始められます。大切なのは「数字を出すこと」よりも、「数字を出して、それを基準に意思決定を変えること」。LTVが見えれば、広告費の上限が決まる。広告費の上限が決まれば、安心して新しい施策に投資できる。新しい施策に投資できれば、新規が増える。新規が増えれば、リピートの可能性が増える。この好循環が始まります。

私たちが運営する「いつでもケーキ」は、初期費用も月額固定費もゼロで、注文代金の5.5%+決済手数料3.6%だけをいただく料金体系にしています。これは、お店が「予約が来なかった月の固定費」を負担しなくて済むようにするためです。売れなければ私たちも稼げない、という同じ船に乗る設計を選んでいます。LTV計算で見えてくる「お客様一人ひとりとの長い関係」を、お店と一緒に作っていくための仕組みです。

よくある質問

Q1. うちはまだ顧客データが手元にないのですが、LTV計算できますか?

はい、感覚値からのスタートで構いません。「常連さんは年に何回くらい来てくれているか」「平均でいくらくらいお買い上げか」をオーナーさんの肌感覚で書き出してみてください。その後、予約システムや顧客台帳でデータを取り始めれば、精度が上がっていきます。最初の一歩は「感覚値でいいから数字にしてみる」ことです。

Q2. 客単価が低くてもLTVは効きますか?

むしろ客単価が低いお店ほど効きます。なぜなら、客単価が低い分、リピート回数で勝負することになるからです。カットケーキ1個400円のお店でも、月1回・10年続けば48,000円。ご家族で来てくだされば、その何倍にもなります。客単価ではなく「継続回数 × 年数」で見るのが、LTV発想です。

Q3. LTVを伸ばすために最初に取り組むべきことは?

私のおすすめは、「半年以上ご無沙汰のお客様への、お声がけ仕組みを1つ作る」ことです。ハガキでも、LINEでも、予約システムからの自動メールでも構いません。「お変わりありませんか」のひと言がきっかけで、お客様は「あ、もう半年も行ってなかったな」と思い出してくださいます。これだけでLTVは確実に伸びていきます。

ケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」

初期費用0円・月額0円。実際にケーキ屋さんと一緒に開発した、現場から生まれたシステムです。
営業時間外の予約取りこぼしを防ぎ、年中行事のリマインドを仕組み化して、お客様一人ひとりとの長いお付き合いを支えます。

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