ケーキ屋さんの事前決済は、全部の予約を前払いにするのではなく、作り直しのきかないオーダーケーキや繁忙期の予約から始めて、店頭払いも残しておくのが無理のない形です。事前決済の予約システムを入れるかどうかは、決済手数料と「来なかった予約の損」を比べると、お店の数字で決められます。
面談でお話を伺ったケーキ屋さんでは、若いお客様から「お金を払いに行かないと予約できないんですか?」と聞かれることが多い、とのことでした。電話で予約を受けて、代金は受け取りのときにいただく。長く続いてきたこの形が、お客様の側から変わり始めています。
私は、ケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」をケーキ屋さんと一緒に作り、導入の立ち上げを担当しています。この記事では、事前決済を始めるかどうかの決め方と、始めるときの順番、お客様に嫌がられない伝え方をまとめます。
この記事の結論
この記事の内容
「払いに行かないと予約できないの?」と聞かれる理由

若いお客様が事前決済を求めるのは、ふだんの買い物で「先に払う」ことが当たり前になっているからです。ネットで注文するときは、その場でスマホで払って、あとは受け取るだけ。この流れに慣れた方にとって、「予約は電話で、代金は受け取りのときに」は、ひと手間多く感じられます。
経済産業省の算出では、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%でした(出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」)。現金を使わない支払いが、半分を超えています。
面談で伺ったお店は、ご夫婦で営む個人店です。ホームページはなく、Instagramと公式LINE、Googleマップで集客されています。いつでもケーキを選んだ理由の1つに、事前決済を求める若い世代への対応を挙げていました。オーナー様は「お金払いに行かなきゃ予約取れませんかっていう方が多いんですよね」と話していました。
予約の前に「お店へ払いに行く」が必要だと、そこで予約をやめてしまうお客様もいます。事前決済は、お店の都合のためだけでなく、お客様が予約しやすくなる入り口でもあります。
事前決済で変わる3つのこと

事前決済にすると、「来なかったときの損」「受け取りのときの会計」「営業時間外の注文」の3つが変わります。どれも、電話と店頭払いの予約では、お店が抱えていたものです。
1.来なかったときの損がなくなる。代金は予約のときにいただいているので、取りに来られなかった予約でも、作ったケーキの代金が残ります。請求の連絡をする必要もありません。無断キャンセルが起きたときの請求の考え方は、無断キャンセルは請求できる?|ケーキ屋さんの請求の考え方にまとめています。
2.受け取りのときの会計がなくなる。お渡しは、お名前を確かめて箱を渡すだけになります。お釣りの用意も要りません。クリスマスのように受け取りが集中する日ほど、レジの列が短くなります。
3.営業時間外の注文が、そのまま売上になる。いつでもケーキの予約の約51%は、お店の営業時間外に入っています。夜にケーキを選んだお客様が、その場で支払いまで済ませるので、お店は朝、支払い済みの予約を見て作り始められます。
事前決済のデメリットと、よく聞く不安
事前決済のデメリットは、手数料がかかること、支払いに慣れていないお客様の手間が増えること、キャンセルのときに返金の手間が出ることの3つです。どれも、始め方と伝え方で小さくできます。
事前決済の不安と、小さくする方法
| よく聞く不安 | 小さくする方法 |
|---|---|
| 手数料がかかる | 来なかった予約の損と比べて決める(次の章の式) |
| 常連さん・年配の方が戸惑う | 店頭払いも残して、選べるようにする |
| キャンセルの返金が面倒 | 返金できる期限を、予約ページに先に書く |
| 「信用されていない」と感じさせる | 「お客様のためだけに作るケーキだから」と理由を伝える |
手数料について。いつでもケーキの場合、事前決済を使った注文には決済手数料3.6%がかかります。プラットフォーム利用料5.5%は店頭払いの予約にもかかるので、事前決済を選んだときに増えるのは3.6%の部分です(料金はプラットフォーム利用料5.5%+決済手数料3.6%、初期費用と月額は0円)。
お客様の手間について。支払いの画面で入力することが増えるほど、途中でやめてしまう方は増えます。予約の途中でアカウントへのログインを求められるだけでも、やめてしまう方がいます。予約ページは、払い終えるまでの手順が少ないものを選ぶのが大切です。
常連さんについて。長く通ってくださる方ほど、「いつもどおり電話で予約して、お店で払う」が安心です。ここを無理に変える必要はありません。常連さんへの伝え方は、後の章で例文を載せます。
事前決済を始めるべき?お店の数字で決める式と判定表
事前決済を始めるかどうかは、「来なかった予約の損」が「事前決済の手数料」より大きいかで決められます。式にすると、次の1行です。
来なかった件数 × 平均単価 > 事前決済の予約売上 × 3.6%
左が右より大きければ、手数料を払っても事前決済にしたほうが、お店に残るお金が多くなります。両方を整理すると、予約のうち来ない割合が3.6%(約28件に1件)を超えるかどうかが目安です。

計算の例(平均単価4,000円・架空の数字)
| 月の事前決済の予約 | 手数料(3.6%) | 損が上回る件数 |
|---|---|---|
| 25件・10万円 | 3,600円 | 1件(4,000円) |
| 75件・30万円 | 10,800円 | 3件(12,000円) |
| 150件・60万円 | 21,600円 | 6件(24,000円) |
たとえば月に30万円の予約を事前決済で受けるなら、来なかった予約が月に3件あれば、損が手数料を上回ります。ご自分のお店の数字を入れると、月に何件来なかったら事前決済のほうが得かが分かります。
売り場で売り直せたケーキは、損から差し引いてください。名前入りのプレートやデザインケーキは売り直しがきかないので、損がそのまま残ります。また、受け取りの会計がなくなる時間や、夜の注文が増える分は、この式には入っていません。お金の比べ方で迷ったときは、次の判定表で決めてください。
事前決済の判定表
| お店の状態 | おすすめの形 |
|---|---|
| 名入れ・デザインケーキのオーダーが多い。来なかった予約が月に何件かある | 事前決済を基本にする。店頭払いは常連さん向けに残す |
| クリスマスなど、受け取りが集中する日がある | その時期の予約から事前決済にする |
| 常連さんが中心で、来なかった予約はほとんどない | 店頭払いを基本に、事前決済も選べるようにする |
| 若いお客様・新しいお客様を増やしたい。夜の注文を受けたい | 事前決済を選べる形を必ず用意する |
始める順番:全部の予約を前払いにしない

事前決済は、作り直しのきかない商品と、受け取りが集中する時期から始めるのがおすすめです。いきなり全部の予約を前払いにすると、支払いに慣れていないお客様や常連さんが戸惑います。順番は、次の4つです。
1.作り直しのきかない商品から。名前入りのプレートやデザインケーキ、号数の大きいホールケーキは、来られなかったときに売り直せません。損がいちばん大きいところから事前決済にします。
2.受け取りが集中する時期から。クリスマスや母の日は、予約の数が多く、受け取りの日も重なります。事前決済にすると、当日のお渡しが早く済み、来られなかった予約の損も防げます。クリスマスの予約の受け方は、クリスマスケーキ予約管理の完全ガイドにまとめています。
3.店頭払いは残す。電話で予約される常連さんや、スマホでの支払いに慣れていない方のために、店頭で払う予約も残しておきます。「払い方を選べる」こと自体が、お客様の安心になります。
4.キャンセルと返金の決まりを先に書く。先に払ってもらう分、「いつまでなら返金されるのか」をお客様が分かる形にしておきます。書き方の例は、次の章で紹介します。
お客様に嫌がられない伝え方と、キャンセルの決まりの書き方

事前決済をお願いするときは、お店の都合ではなく「お客様が楽になる」「お客様のためだけに作る」という理由で伝えると、嫌がられにくくなります。場面ごとの例文を載せます。そのまま使っても、お店の言葉に直しても構いません。
店頭やInstagramで知らせるとき
「ネット予約では、ご予約のときにお支払いまで済ませられるようになりました。受け取りの日は、お名前を伝えていただくだけでお渡しできます。」
名入れ・デザインケーキをお願いするとき
「お名前入りのケーキは、お客様のためだけにお作りするため、ご予約のときにお支払いをお願いしています。」
常連さんに伝えるとき
「これまでどおり、お電話のご予約とお店でのお支払いも承ります。ネットで先に払っておくこともできるようになりました。」
「先払いでないと受けません」と言い切るより、「先に払っておくと受け取りが楽です」と伝えるほうが、選んでもらいやすくなります。
キャンセルの決まりは、お店の作業の進み具合で分けておくと、理由を説明しやすくなります。たとえば次のような形です。
キャンセルと返金の決まりの例
| キャンセルの時期 | 返金の例 |
|---|---|
| 予約の締め切りより前 | 全額をお返しする |
| 締め切りのあと〜受け取りの前日 | 材料の準備に使った分を差し引いてお返しする |
| 受け取りの当日・連絡がないとき | お返ししない(ケーキはお作りしているため) |
キャンセル料は、お店に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効になると、消費者契約法で決められています(出典:e-Gov法令検索「消費者契約法」第9条)。金額の決め方と連絡の例文は、無断キャンセルの記事で詳しく書いています。
決まりは、予約ページと、予約を受けたときの確認メールの両方に書いておきます。お客様の手元に残る形で伝えておくと、「知らなかった」が起きません。確認メールの書き方は、予約確定メールの書き方と例文にまとめています。
事前決済の予約システムを選ぶときに確かめる4点
事前決済の予約システムを選ぶときは、手数料の率だけでなく、払い方を選べるかと、返金をどうするかまで確かめます。あとから「全部前払いにしかできない」「返金の操作が分からない」と困らないためです。
1.店頭払いの予約も残せるか。常連さんや、モールの決まりがあるお店のために、事前決済と店頭払いを両方受けられるかを見ます。
2.商品や時期ごとに、事前決済にするかを分けられるか。オーダーケーキだけ、クリスマスだけ、という始め方ができるかを確かめます。
3.キャンセルのときの返金を、どこで・誰が操作するか。お店の管理画面で返せるのか、問い合わせが必要なのか。返金にかかる日数や、決済手数料が戻るかどうかも聞いておきます。
4.手数料はいくらで、どの注文にかかるか。事前決済の注文だけにかかるのか、すべての注文にかかるのか。月額の固定費があるかもあわせて比べます。予約システム全体の選び方は、ケーキ屋さんの予約システム比較で詳しく比べています。

いつでもケーキで事前決済を使う場合
いつでもケーキでは、お客様がスマホで予約するときに、その場で代金まで払える事前決済を使えます。店頭で払う予約も受けられるので、常連さんの払い方はそのままにできます。料金はプラットフォーム利用料5.5%+決済手数料3.6%(決済手数料は事前決済を使った注文だけ)で、初期費用と月額は0円です。予約が入らなかった月に、固定の費用はかかりません。
売れた分だけいただく形にしているのは、予約の少ない月の固定費を、お店が負担しなくて済むようにするためです。お店の予約が増えなければ、私たちも続けられません。同じ船に乗っている、という考え方で作っています。どの商品から事前決済にするかなど、細かい運用は導入のときにお店の事情を伺ってご案内します。
よくある質問
Q. 事前決済は、どの商品から始めればいいですか?
作り直しのきかない商品からがおすすめです。名前入りのプレートやデザインケーキ、号数の大きいホールケーキは、来られなかったときに売り直せません。次に、クリスマスや母の日など受け取りが集中する時期の予約です。常連さんの予約は、店頭払いのまま残しておけます。
Q. 事前決済のデメリットは何ですか?
決済の手数料がかかること、スマホでの支払いに慣れていないお客様の手間が増えること、キャンセルのときに返金の手間が出ることです。店頭払いも残す、返金の期限を予約ページに書いておく、といった始め方で小さくできます。
Q. 事前決済のあとにキャンセルされたら、どうすればいいですか?
予約ページに書いた決まりに沿って返金します。締め切りより前は全額、締め切りのあとは材料の準備に使った分を差し引く、のように作業の進み具合で分けておくと説明しやすくなります。キャンセル料は、お店に生じる平均的な損害を超えないように決めます。
Q. 常連さんにも事前決済をお願いしたほうがいいですか?
無理にお願いする必要はありません。電話の予約とお店での支払いをこれまでどおり残し、「ネットで先に払っておくこともできます」と、選べる形で伝えるのがおすすめです。
ケーキ屋さん向けのサービスです
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サービス紹介ページが開きます。その場での申し込みは不要です。
がだんだん株式会社 代表取締役。1938年創業の新聞販売店の4代目として約15年経営したのち、2020年にがだんだん株式会社を設立。2023年からケーキ店専用の予約の仕組み「いつでもケーキ」を導入店とともに開発し、2026年4月に本格的な販売を開始。ケーキ屋さんへの導入とメニュー登録の立ち上げを自ら担当している。
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