テイクアウトの消費税が、2027年4月から1%になる見通しです。一方で店内飲食は10%のまま据え置かれます。いまは8%と10%で2ポイントの差ですが、これが9ポイントの差になります。
2026年8月5日、政府は臨時閣議で、飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間、8%から1%に引き下げる基本方針を決定しました。対象は酒類と外食を除く飲食料品。つまり現行の軽減税率と同じ範囲です。
ケーキ店にとってこれは「税率が下がる」という話では終わりません。ショーケースの前でお客様と交わす一言が、そのまま税率を決めることになります。この記事では、制度の解説そのものより、店頭で実際に何が起きるのかと、今から手をつけられることを整理しました。
結論|テイクアウトは1%、店内飲食は10%
先に全体像を置きます。2026年8月時点で決まっている「基本方針」の中身です。
| 売り方 | 現在 | 2027年4月〜(2年間の予定) |
|---|---|---|
| テイクアウト(持ち帰り) | 8% | 1% |
| 宅配・出前 | 8% | 1% |
| 店内飲食(イートイン・カフェ) | 10% | 10%(据え置き) |
| 酒類 | 10% | 10%(据え置き) |
税抜1,000円のケーキで見ると、こうなります。
同じケーキで90円。これまでの4倍以上の開きです。お客様が気づかないはずがない金額になります。
「2ポイント差」が「9ポイント差」になる
2019年10月に消費税が10%になったとき、飲食料品には軽減税率8%が設けられました。このとき「持ち帰りは8%、店内飲食は10%」という2つの税率が生まれています。今回の方針は、この軽減税率の側だけを1%まで下げるものです。
決まっていることの整理
ゼロではなく1%になった理由も報じられています。税率をゼロにするとレジシステムの改修に1年程度かかり、2027年4月の開始に間に合わないから、というものです。国の側も「レジが変わらないと制度は動かない」と認めているわけで、これは現場にとって示唆的な話だと思います。
外食業界はすでに動いています。日本経済新聞の2025年度飲食業調査では、食料品の消費税減税が業績にマイナスの影響を与えると見る企業が7割にのぼり、各社は減税対象になるテイクアウトやデリバリーの強化を急いでいると報じられました。小売各社もレジ改修を本格化させています。
どちらに当たるかは、いつ決まるのか
ここが実務でいちばん効いてくるところです。現行の軽減税率の考え方では、テイクアウトか店内飲食かの判定は「提供する時点」=レジでの会計時に行い、そのときのお客様の意思表示で決まります。
つまり、確実なのはお店から聞くことです。「お持ち帰りですか、店内でお召し上がりですか」。この一言が判定になります。
そして、会計のあとにお客様の気が変わって店内で召し上がった場合でも、判定は提供時点で行われるため、あとから税率をさかのぼって変える必要はないとされています。これは制度が始まったときにかなり議論になった論点で、店側が追いかけて回収する仕組みではありません。
ケーキ店の店頭で起きること
イートインスペースのある店は、影響が二重になる
カフェを併設していたり、店内に数席のイートインスペースを置いているケーキ店は、同じショーケースの同じケーキに1%と10%の二つの値段が並ぶことになります。しかも差は90円。「じゃあ持ち帰りで」とその場で言われることが増えるのは、想像がつきます。
イートインは客単価を上げてくれる大事な設備です。それが税率のせいで選ばれにくくなるとしたら、席そのものの価値を作り直す必要が出てきます。ここは値付けの話とつながるので、値上げ・価格転嫁の伝え方もあわせて考えたいところです。
受け取りの会話が、税率を決める会話になる
ケーキ店の店頭は、ただでさえ確認事項が多い場所です。ロウソクは何本か、保冷剤はどれくらい必要か、プレートの文字はこれで合っているか。そこに「店内か持ち帰りか」が税率を左右する確認事項として加わります。
私は前職で新聞販売店を15年やっていました。2019年に軽減税率が始まったとき、新聞は当事者だったのです。定期購読の新聞は8%、駅やコンビニで売られる新聞は10%。同じ紙面なのに、契約の形で税率が変わりました。請求書も集金の案内も、全部作り直したのを覚えています。
あのとき骨が折れたのは、税率そのものより「お客様にどう説明するか」でした。制度が悪いわけでも店が悪いわけでもないのに、値段が違う理由を毎回説明することになる。今回、9ポイントの差を店頭で背負うのはケーキ店です。
今から準備できる4つのこと
法案はまだ成立していないので、いま動くべきなのは「決めること」ではなく「棚卸ししておくこと」だと考えています。実施が決まってから始めると、確実に時間が足りません。
1. どの売り方がどちらに当たるかを書き出す
ホールケーキの持ち帰り、生ケーキの店内飲食、焼き菓子のギフト、ドリンクとのセット、配達、催事販売。売り方の種類だけ、税率の分岐があります。商品ではなく「売り方」で並べるのがコツです。判断に迷うものが必ず出るので、そこは顧問税理士に確認する候補として印をつけておきます。
2. 値段の見せ方を決めておく
2019年のときも、税込価格を2つ並べる店、税抜で表示して会計時に分ける店、対応が分かれました。差が90円になると、プライスカードの書き方そのものが接客になります。どちらの方針を採るか、値札を作り直す手間まで含めて先に決めておくと、直前に慌てません。
3. レジと予約システムの税率設定を確認する
1%案が採られた理由が「レジ改修が間に合わないから」だった以上、ここは避けて通れません。いま使っているレジが税率の追加・変更にどう対応するのか、費用と作業期間はどれくらいかを、メーカーや販売店に早めに聞いておくことをおすすめします。2027年3月に全国のお店が一斉に問い合わせる状況は、容易に想像できます。
Web予約を受けている場合は、予約システム側の税率設定も同じです。私たちが運営しているケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」でも、税率の切り替えは私たちの側で対応する前提で準備を進めています。お店が個別に設定し直さなくて済むようにするのが、システムを提供する側の仕事だと思っています。
4. 「2年で戻る」前提で作る
今回は時限措置で、2029年4月に8%へ戻す予定とされています。つまり値札もレジ設定も、2年後にもう一度変えることになります。1回目の作業を「2回やる前提」で記録に残しておくと、2回目が圧倒的に楽になります。どのプライスカードを差し替えたか、レジのどの設定をどう変えたか。写真とメモで十分です。
ケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」
初期費用0円・月額0円。ご注文があったときだけ、プラットフォーム利用料5.5%と決済手数料3.6%をいただく設計です。売れなければ私たちも稼げないので、売れる仕組みを作るしかない。お店と同じ船に乗るための料金体系です。
導入店ではご予約の約51%が営業時間外に入っています。
まだ決まっていないこと
ここまで書いておいて恐縮ですが、この件で一番大事なのは「まだ確定していない」という一点です。
ですので、この記事は2026年8月時点でわかっていることの整理として読んでいただき、実際の税務判断は必ず顧問税理士や国税庁の公表情報でご確認ください。私たちも制度の専門家ではありません。書けるのは「店頭で何が起きそうか」までです。
それでも、いま棚卸しをしておく価値はあると思っています。制度が確定してから動き出すお店と、確定前に売り方を並べ終えているお店とでは、2027年3月の忙しさがまったく違うからです。ちなみに受け取り時間の設計についても同じことが言えて、繁忙期に効くのは前倒しの準備だけでした。詳しくは受け取り時間の決め方にまとめています。
よくある質問
2027年4月から、テイクアウトは1%・店内飲食は10%。同じケーキで90円の差がつきます。判定は会計時の意思確認で決まり、その一言の重さがこれまでとは変わります。
ただし法案はまだ成立していません。いまできるのは、売り方ごとの分岐を書き出しておくことと、レジと予約システムの変更手順を確認しておくこと。確定を待つ必要のない準備だけ、先に済ませておくのが得だと思います。