レジの税率変更をどうするか。2027年4月から食料品の消費税が1%になる方針が固まって以来、この問い合わせが急に増えているそうです。実際、検索の動きを見ても「レジ 税率変更」は2026年3月から4月にかけて10倍以上に跳ね上がり、そのまま高止まりしています。
ただ、この件は急いで買い替えると損をする可能性があります。理由は後述しますが、補助金の話が絡むからです。
この記事を書いている私たちは、レジを売っていません。ケーキ店向けの予約システムを作っている会社です。だからレジの買い替えを勧める動機がなく、「まだ待っていい」と書けます。そのつもりで読んでいただければと思います。
結論|いま進めるのは「把握」と「見積もり」まで
先に結論を置きます。2026年8月の時点でやっておくといいのは、次の3つだけです。
理由はシンプルで、法案がまだ成立しておらず、事業者向けの支援策も公表されていないからです。2026年8月5日に基本方針が閣議決定された段階で、9月に税制改正大綱、秋の臨時国会に法案提出という段取りが示されています。ここから内容が動く余地はまだあります。
なぜレジが制度の中心にいるのか
今回おもしろいのは、税率が1%になった理由そのものがレジだったことです。
報じられているところでは、税率をゼロにするとレジや会計システムの改修に約1年かかり、2027年4月の開始に間に合わない。ところが1%であれば5〜6か月で対応できる。だから0%ではなく1%が採られた、という経緯です。
つまり国の側も、「現場のレジが変わらなければ制度は動かない」という前提で制度設計をしている。これは中小の店を長くやってきた身からすると、少し珍しい光景でした。私は前職で新聞販売店を15年やっていて、2019年の軽減税率導入では当事者側にいました。定期購読の新聞は8%、駅やコンビニで売る新聞は10%。同じ紙面が契約の形で税率分岐するという制度に、請求書も集金の案内も全部合わせにいった記憶があります。あのときは「決まったから合わせる」だけで、こちらの都合が制度に反映されることはありませんでした。
自分の店のレジがどのタイプか切り分ける
レジの税率変更にかかる手間と日数は、使っている機種のタイプでまったく違います。まずここを切り分けないと、見積もりを取ることすらできません。
| タイプ | 見分け方 | 税率変更のしかた |
|---|---|---|
| クラウドPOS (タブレット型) |
iPadやAndroid端末にアプリを入れて使っている。ネットにつながっている | 管理画面から数値を変えるだけで即日。業者を呼ぶ必要がない。機種によっては適用開始日を先に予約設定できる |
| 電子レジスター (据置きの一体型) |
キーが物理ボタンで、感熱ロール紙を使う。ネットにつながっていない | メーカーの手順書を見て自分で設定できる機種もある。ただし古い機種は税率を追加できない場合がある |
| 据置き型POS (専用機) |
レジ専用の大きな機械。導入時に業者が設置に来た | 業者による改修が必要な場合が多い。着手までに数か月かかることもあると言われています |
ここで確認しておきたいのが、「税率を追加できるか」ではなく「1%を設定できるか」です。2019年の軽減税率対応で8%と10%の2本立てには対応した機種でも、そこに1%を入れられるかは別問題になります。メーカーに聞くときは、この言い方で尋ねるのが早いはずです。
聞いておくと後が楽な4つの質問
補助金は「待つ」判断でいい
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
2019年に軽減税率が導入されたときには、レジの導入や改修を支援する補助金が設けられていました。今回の1%への引き下げでも、同様の事業者向け支援策が新設される可能性が高いと指摘されています。
補助金には、たいてい「いつからの支出が対象か」という線が引かれます。制度が発表される前に買ってしまうと、その線の外側に落ちる可能性がある。急いで発注したせいで対象外になるのは、いちばんもったいない失敗です。
なお、支援策の有無・内容・対象期間は2026年8月時点で公表されていません。実際に申し込む段階では、必ず公式の公募要領をご確認ください。
レジの外側にも税率設定はあります
レジばかりに目が向きますが、ケーキ店の場合、税率の設定を持っている場所はレジだけではありません。当日になって「ここも設定が要るのか」と気づくと、対応が間に合いません。
このうちWeb予約については、私たちが運営しているケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」では、税率の切り替えは私たちの側で対応する前提で準備を進めています。お店ごとに設定を触っていただかなくて済むようにするのが、システムを提供する側の役割だと考えているからです。
導入店ではご予約の約51%が営業時間外に入っています。閉店後に届いている注文にまで税率の設定漏れが及ぶと、影響はレジの比ではありません。使っている予約システムがあるなら、提供元に「税率変更はどちらが作業するのか」を一度確認しておくと安心です。システム側の対応に不安がある方は、「使いこなせるか不安」を解消する登録サポートもあわせてご覧ください。
税理士に相談したい論点と、2回変える前提
売上の税率だけが下がる、という構造
見落とされがちなのが、下がるのは飲食料品の税率だけという点です。ケーキ店の場合、原材料は飲食料品なので同じく1%になりますが、包装資材・光熱費・家賃・機材・広告費などは10%のままです。
売上側の税率が大きく下がり、経費側の一部は据え置かれる。これは消費税の納付額そのものの前提が変わるということで、資金繰りの見通しにも関わってきます。ここは私たちが軽々に語れる領域ではないので、論点として挙げるにとどめます。
2029年にもう一度、同じ作業があります
今回は2年間の時限措置で、2029年4月に8%へ戻す予定とされています。つまりレジも値札も会計ソフトも、2回変えることになります。
であれば、1回目を「2回やる前提」で残しておくのが得です。どのプライスカードを差し替えたか、レジのどの画面をどう操作したか、誰に連絡したか。写真とメモで十分です。2回目の作業が、まるで別物のように楽になります。
値段の見せ方そのものについては、値上げ・価格転嫁の伝え方で書いたことがほぼそのまま当てはまります。金額が動く理由をお客様にどう伝えるかは、下がるときも上がるときも同じ設計です。
ケーキ店専用 店頭受取予約+AI販促プラットフォーム「いつでもケーキ」
初期費用0円・月額0円。ご注文があったときだけ、プラットフォーム利用料5.5%と決済手数料3.6%をいただく設計です。売れなければ私たちも稼げないので、売れる仕組みを作るしかない。お店と同じ船に乗るための料金体系です。
税率の切り替えのような制度対応も、お店に作業をお願いしなくて済むように準備しています。
よくある質問
レジの税率変更は、いま急いで買い替える話ではありません。機種のタイプを確かめ、メーカーに所要日数を聞き、見積もりを揃えておく。ここまでで十分です。
そして、税率設定はレジの外側にもあります。Web予約、会計ソフト、請求書、値札。全部を当日に思い出すのは無理なので、リストにして机に貼っておくくらいでちょうどいいと思います。この記事は2026年8月時点の整理です。実際の判断は、公式の発表と顧問税理士にご確認ください。